『日経研月報』特集より

シリコンアイランド九州のイノベーション

2023年12-2024年1月号

岡野 秀之 (おかの ひでゆき)

公益財団法人九州経済調査協会 常務理事兼事業開発部長

はじめに

デジタル社会やカーボンニュートラルの進展と、経済安全保障の議論によって、半導体産業を取り巻く潮目が大きく変わった。生成系AIやフィンテックに代表される新たなデジタル産業・クラウドサービスの登場によって、高度なセキュリティやコンピューティング能力、低消費電力対応が求められ、そのキーデバイスとして半導体が注目されている。GAFAMのようなアプリケーションサイドがサービス差別化のために半導体開発に本格参入し、業界の主導権争いも新たな局面に入っている。同時に、米中貿易摩擦に端を発し、ロシアのウクライナ侵攻でますます重要性が高まる経済安全保障がサプライチェーンの再構築や変革を求めており、産業界や政府はともに戦略の見直しを迫られている。
この世界的な動きに呼応して、わが国では、経済産業省が「半導体・デジタル産業戦略」を2021年6月に策定(2023年6月に改定)し、半導体産業を経済安全保障上の最重要産業と位置づけた産業政策を展開し始め、国内の半導体産業は息を吹き返している。同戦略を受けて、2021年11月に世界最大の半導体製造受託メーカー(ファウンドリ)のTSMCが熊本県への立地を決定したことで、九州の半導体産業にも再起動のスイッチが入った。
本稿では、九州の半導体産業がこれまでにどのような進化の系譜を辿ったかを概観しつつ、昨今の半導体産業政策の転換に伴う九州での地域産業政策を整理し、新たなイノベーションの萌芽について取りまとめる。

1. シリコンアイランド九州の実力

九州における半導体産業の規模は1兆円を超え、移輸出型の基盤産業となっている。
九州経済産業局の生産動態統計調査によると、2022年の集積回路(Integrated Circuit:IC)の生産額は9,301億円、半導体製造装置は4,930億円となっており、両者で1兆4,231億円の規模である(図1)。その全国比は、それぞれ44.3%と18.5%に達しており、わが国のなかでも重要なポジションにある。集積回路の生産額は、2000年のITバブル期に記録した1兆3,924億円のピークには及ばないものの、2013年をボトムとして増加傾向が続いている。半導体製造装置の生産額も、2009年のリーマンショックをボトムとして増加傾向となっており、過去最高水準にある。特に、集積回路生産額の全国比が40%を超えたことは、過去にも例がなく、シリコンアイランド九州は、まさにわが国の半導体産業の最重要拠点となっている。

2. シリコンアイランド九州の進化の系譜

(1)幅広い業種を包含する産業エコシステム

九州の半導体産業の特色と強みは、幅広い関連産業が集積し、相互取引を通じたローカルサプライチェーンを形成すると同時に、世界市場へ供給するグローバルサプライチェーンも有している点である(岡野、2011)。
シリコンアイランド九州は、1967年に三菱電機の半導体工場が立地してから55年という歴史の積み重ねのなかで、デザインハウス、デバイス製造(前工程・後工程・テスト)、装置、部品、材料といった幅広いサプライチェーンに基づくエコシステムを形成するに至っている。九州半導体・デジタルイノベーション協議会(旧九州半導体・エレクトロニクスイノベーション協議会)によると、九州には1,000を超える事業所や大学、産業支援機関が立地する産業集積がある。デザインハウスが37事業所、デバイス製造(前工程)が19事業所、デバイス製造(後工程)が39事業所、デバイス製造(テスト)が80事業所、装置・装置部品が73事業所、材料が82事業所などとなり、これに生産設備やメンテナンス事業、関連エレクトロニクス事業、支援機関等も立地している。材料から製造装置、設計、デバイス製造(前工程、後工程)といった半導体産業のサプライチェーンのみならず、ロボットや自動車などの幅広い産業同士が相互に繋がる産業集積が形成されている点も特徴である。
九州に立地する主要な電子デバイスメーカー、装置メーカー、材料メーカーは、図2・図3の通りである。

(2)アンカーとなるデバイスメーカーの変質と高度化

九州の半導体産業が再度成長軌道に向かう契機となった変化として、アンカーとなるデバイスメーカーの変質と高度化がある。九州では、1980年代から90年代にかけてDRAMなどのメモリーに加えて、マイコンシステムLSIなどのロジックの生産を主力としていた。しかし、ITバブル後の大手デバイスメーカーの再編によって、九州でのメモリー生産はほぼ消滅した。それに代わって存在感を示しているのが、イメージセンサーとパワー半導体、車載用マイコン、ニッチ分野のセンサーデバイスである。特に、高い信頼性が求められる車載市場が九州の重要なターゲットのひとつとなっている。成熟プロセスによる高い品質と歩留まりで勝負している。
具体的には、ソニーがイメージセンサー、三菱電機やロームがパワーデバイス、ルネサステクノロジが車載デバイス、旭化成マイクロデバイスやラピスセミコンダクタがセンサーなど選択と集中により、確固としたポジションを確立している。
また、ジャパンセミコンダクタや日清紡マイクロデバイス福岡、フェニテックセミコンダクターなども、アナログ系の特徴的なファンダリサービスを展開し、一定の存在感を発揮している。
アンカーとなるデバイスメーカーは、時代とともに生産品目を柔軟に変化させ、それぞれが特徴的な成長市場に目を向けている。設計や製造の各工程を専業の企業が連携して担う「水平分業モデル」へと転換するなか、事業特化と個性化を進めている。

(3)地場企業のアップグレーディング

それから、進化の特徴として忘れてはならないのが地場企業のアップグレーディングである。自社の研究開発力や事業構築力を高め、半導体一本足でアンカー企業にぶら下がる単線的な下請け経営から脱却し、複数の事業領域を持ったポートフォリオ経営を進めている中堅企業が多数生まれてきている点が強みとなっている(岡野、2019)。
例えば、東芝の後工程協力工場から次世代パワーデバイス評価検証ビジネスといった開発型企業へと転身した大分デバイステクノロジー(大分市)や、装置部品商社からマスクレス露光装置や次世代パッケージのFOWLPファンダリビジネスを展開するメーカーへと転身したPMT(福岡県須恵町)、など枚挙にいとまがない。
アンカー企業との取引や人材交流(出向や派遣)等を通じて技術を高度化しつつ、研究開発助成等の政策資金を活用した産学連携によって技術開発力を強化し、独自商品やサービスの展開に繋げるというのがひとつの成長モデルとなっている。産学連携による研究開発プロジェクトでは、新技術の開発を通じて、人材の育成や製品のエビデンスの獲得などにも寄与し、その後のビジネス展開に繋がっている。域内顧客や系列顧客との取引のみという狭い世界から脱却し、海外取引や系列外・系列レス取引という幅広い取引を通じて、域外から外貨を稼ぐ自立型経営の企業が多く存在している。

3. 進む設備投資と研究開発機能の集積

九州の半導体産業の動きについて、とりわけTSMCの立地(投資額約1兆2千億円)やそれに伴う随伴立地が注目されているが、九州各地で、それ以外にも大きな設備投資が活発化している(表1)。

この数年来、九州で最も積極的な設備投資を続けているのが、ソニーセミコンダクタマニュファクチュアリングである。同社は、スマートフォン向けCMOSイメージセンサーの増産に向けて、2021年から2023年の投資を9,000億円に上方修正し、熊本TEC(菊陽町)と長崎TEC(諫早市)の増強を図っている。加えて、2022年12月には、合志市に8,000億円程度の追加投資をして工場を新設することが報道されている。イメージセンサーは、スマートフォンなどのモバイル領域での多眼化や大判化が進むとともに、AIとの融合によってイメージングとセンシングの2領域での需要拡大が見込まれる。2021年の世界シェア約4割から2025年に6割まで拡大することを目指しており、そのための投資を九州に集中させている。加えて、ソニー半導体の設計を担うソニーセミコンダクタソリューションズは、福岡に設計拠点を設け、1,000人を超える設計エンジニアを配置しており、頭脳部分の配置も進みつつある。
また、パワーデバイスに関しても、ローム・アポロが次世代SiC(シリコンカーバイド)の研究開発機能を併設した量産拠点を新設し、三菱電機でも開発試作棟を新設するなど、積極的な投資がみられる。さらに、ロームグループは、宮崎県のソーラーフロンティアの旧国富工場を取得して、SiCパワー半導体の主力工場の整備も発表している。同社では、SiCパワー半導体事業に対して2021年~2027年までに5,100億円を投資し、2025年までに2021年比で6.5倍、2030年までに35倍までに急速な事業拡大を目指しており、その主要拠点として九州(ローム・アポロ筑後、ラピスセミコンダクタ宮崎、国富新設工場)が選ばれている。
さらに注目されるのが、材料や装置などの関連産業での投資も積極さを増している点である。シリコンウエハのSUMCOが、4,000億円を超える大型投資に踏み切っているうえに、TOTOや京セラなど100億円クラスの投資も目白押しである。加えて、材料分野の研究開発に関しても、例えば封止材料の世界トップである住友ベークライトは、半導体封止材料等の研究の中核拠点である情報通信材料研究所を直方市の生産拠点に併設している。製造装置の研究開発に関しても、コータデベロッパの世界トップである東京エレクトロンは、研究開発棟の新設を合志市の生産拠点に決めた(投資額300億円、2024年秋竣工)。生産拠点のエンジニアの技術蓄積や、開発から量産に到るまでのリードタイムの短縮化など、いずれも生産と開発とのシナジー効果を狙ったものである。これまで頭脳なきシリコンアイランドと言われてきたが、近年は頭脳部分の厚みが少しずつ増してきている。
九州経済産業局によると、2021年4月から2023年8月末までのこれらの投資計画を集計した結果、約2兆円を超える水準にあるとみている。先に述べたように、九州の半導体関連産業の年間生産額が1兆5,000億円程度となっているなかで、近年の投資の大きさは破格である。

4. 再始動する半導体地域産業政策

(1)TSMC立地を契機とした地域産業政策

昨今の半導体産業政策の強化とTSMCの熊本県への立地は、企業のみならず、九州の産業支援組織や教育機関、県の半導体産業担当部署の関係者にも大きな刺激を与えている。特に、TSMCの立地に代表される数々の大規模設備投資への対応に加えて、エンジニア等の人材育成・確保が大きな課題となっている。
九州での半導体産業振興にかかる地域産業政策の中核を担っているのが、九州経済産業局や九州半導体・デジタルイノベーション協議会が2022年3月に設立した「九州半導体人材育成等コンソーシアム」である。同コンソーシアムは、2021年6月の「半導体・デジタル産業戦略」の発表、ならびに2021年11月のTSMCの熊本への立地発表の直後に全国に先駆けて設立された。約100に及ぶ半導体関連企業や産業支援組織、大学・高専、各県の関連部局等が参画し、オール九州での半導体産業振興の取組みが再起動することとなった。
同コンソーシアムが取り組む具体的なテーマは、①半導体人材の育成と確保、②企業間取引・サプライチェーン強靭化、③海外との産業交流促進の3つである。
半導体人材に関しては、コンソーシアム会員の佐世保高専や熊本高専において、半導体に関する電気や化学、機械、情報などの幅広い知識を一貫して学べる「半導体工学概論」や「半導体デバイス工学」を2022年4月に新設し、これをオンデマンドや教職員研修を組み合わせながら国立高等専門学校機構を通じて九州発で全国展開している。九州工業大学マイクロ化総合技術センターでは、保有する4インチラインを再整備しており、材料探索・材料研究や人材育成等々での活用が進んでいる。近年では同コンソーシアムと連携して、高専教員や企業研修・リスキリング等で3日間の試作体験コースを運営しており、全国から500名超の利用がなされている。2024年度以降は、装置のPDK整備や設計環境の整備も図る計画であり、設計から製造までを一貫して対応できるファシリティとなる見込みである。
さらに、2023年8月には、九州大学に「価値創造型半導体人材育成センター」が設立され、社会のニーズや社会変革に求められる半導体・集積回路の設計・製造を担う半導体のスペシャリストの育成が目指されている。また、同月には、福岡県産業・科学技術振興財団(ふくおかIST)がこれまで2万5,000名の半導体技術者育成実績のある「システム開発技術カレッジ」をリニューアルするかたちで、「福岡半導体リスキリングセンター」を開設した。半導体設計関連のカリキュラムの強化を図るとともに、ブロックチェーン、AI/機械学習、画像認識、言語処理、データサイエンスなど、半導体ユーザーサイドとなるデジタルサービス構築に必要な最新技術に関する講座も積極的にカリキュラムに加え、オンラインでの受講環境も整えている。さらに、熊本大学では、2024年度からの開設を目指して、半導体人材育成を企図した新学部(情報融合学環:定員60名)と工学部半導体デバイス工学課程(定員20名)の新設を文部科学省に申請し、認可されている。あわせて、熊本県立技術短期大学校にも、2024年度から「半導体技術科」を開設し、政府から構造改革特区の認定を受け、技大から4年生大学である熊本大学への編入の道を切り開くなど、前例のない大胆な取組みも進めている。
また、福岡県などの自治体でも、学生向けの半導体企業プロモーションツアーやオンラインインターンシップ、転職希望者向けオンライン面接会等々、数多くの取組みがなされている。オペレーター等のボリュームゾーン人材から研究開発職等のトップ人材まで、また幼少期のSteam教育から高専や大学での専門教育、ならびに社会人のリスキリングまで、幅広い取組みが進められている。
サプライチェーン強靭化や海外との交流促進に関しても、オール九州の企業や大学等との連携を強化し、顔の見える信頼関係を構築して、BCP対策も含めた相互補完体制の構築づくりが目指されている。海外に関しては、特に台湾との産業連携と研究連携、人材育成連携が進められている。

(2)次世代技術開発に向けた地域産業政策の動き

これらの取組みに加えて、福岡県や熊本県では次世代技術の研究開発に向けた取組みも進められている。
福岡県では、2022年2月に「グリーンデバイス開発・生産拠点協議会」を立ち上げ、パワーデバイスや各種デバイスの低消費電力化に対する研究開発支援に加えて、関連する新たな設備投資や企業立地に対する助成を始めた。また、福岡県は、福岡県産業・科学技術振興財団(ふくおかIST)において、これまでのクラスター政策からの流れを発展継承し、システム技術人材の育成、半導体ベンチャー企業の支援、半導体実装技術の高度化、社会システム実証の推進などに取り組んでいる。これまでの半導体設計支援拠点としての実績が評価され、産業技術総合研究所と東京大学大規模集積システム設計教育研究センター(VDEC)が進める「AIチップ開発加速のためのイノベーション推進事業」で取り組むAIチップ設計拠点(AIDC)のサテライトとして位置づけられ、AIチップ開発に向けた国家プロジェクトの受け皿として機能している。AIチップ開発に合わせて整備したオープンEDAを用いた研究会も継続的に開催されており、半導体設計のハードルを下げる取組みが始まろうとしている。
また、More Than Mooreの技術として注目されている、3DIC(3次元積層IC)に関わる半導体実装技術に関しては、三次元半導体研究センターで受託研究開発が活発に行われており、全国の企業や大学・研究機関などと連携した取組みがなされている。高密度実装技術の世界標準の獲得と事業化に向けて、国際標準化に向けた取組みも推進されており、部品内蔵基板の国際標準規格(JPCA-EB01-2011〔2015年〕、IEC62878シリーズ)を獲得するなど、半導体実装技術をグローバルにリードしつつある。わが国から国際標準を獲得することによって、わが国の半導体メーカーや材料メーカー、装置メーカー、ツールメーカーが高い競争力を持ってビジネスを推進する足がかりができつつある。今後は、これまで中心的に進めてきた部品内蔵基板を含む基板周りの三次元実装から、次世代の3DICを意識したチップレット(異種融合デバイス)などのチップ周りの三次元実装への取組みへと守備範囲を広げようとしている。
熊本県でも、2023年3月に「くまもと半導体産業推進ビジョン」の取りまとめを図り、内閣府「地方大学・地域産業創生交付金」を活用して、2023年度から10年間にわたって、熊本大学と連携した半導体人材育成がなされ、地域企業と連携した共同研究によって、次世代技術として注目されている「三次元積層実装技術」の国内初の量産化や、半導体ユーザー産業と連携した新産業創出・スタートアップ創出に向けた取組みがスタートした。2023年4月には「くまもと3D連携コンソーシアム」も設置され、新しい産学官コミュニティも生まれている。

おわりに~シリコンアイランド九州のイノベーション創出に向けて

九州の半導体産業は、シリコンサイクルと呼ばれる好不況の波やテクノロジードライバーの変遷、アンカー企業であるデバイスメーカーの競争力・事業戦略などに翻弄されつつも、時代の変遷とともにその産業集積を進化させてきた。デバイスメーカーは、イメージセンサーやパワーデバイス、車載デバイスなどの特徴的な事業領域への転換を果たし、研究開発機能の併設などを通じて、高付加価値化と生産性向上、開発リードタイムの圧縮、研究開発力の強化に取り組んできた。また、産業のエコシステムは、デバイス製造から製造装置や高機能素材、設計などへと裾野を広げつつ、大学や産業支援機関との共同研究、ならびに研究開発助成などの政策資金の活用によってアップグレーディングを果たしてきた。今後は、ロボットや自動車、AI/IoTといった幅広いアプリケーションやサービスと連動したエコシステムに生まれ変わろうとしている。
これまで、国際競争のなかで、事業変革、自立経営、研究力・事業力をキーワードとして、独自の特徴と役割を持ちつつ進化してきた。今回のTSMCの進出やレガシーファブの再構築、先端半導体技術開発の強化といった産業政策の流れは九州に新しい付加価値を吹き込み、新たなイノベーションを生み出す契機となるだろう。
九州半導体人材育成等コンソーシアムは、2022年5月に九州が目指す2030年の3つの姿を定めた。1)だれもが「半導体は社会基盤の主人公である」とその価値を理解している九州、2)だれもが「半導体を学ぶ楽しさ」に共感している九州、3)半導体産業で働くことに「誇り」と「生き甲斐」を実感する九州、である。さらに、経済団体トップと九州地方知事会で組織する九州地域戦略会議でも、2023年10月会合の提言で「経済の安全保障(新生シリコンアイランド九州)の実現」が盛り込まれ、同コンソーシアムの取組みに加えて、1)企業集積の進展に備えた物流・交通インフラの整備、2)海外における販路開拓、事業連携等の産学交流促進、3)九州で連携して取り組むべき課題の整理等、が盛り込まれた。新生シリコンアイランド九州のビジョン実現に向けて、産官学金がしっかりと協議を進め、それぞれが得意とする領域にフォーカスした役割分担と、相互連携による相乗効果の発揮を進めて行く必要がある。新たなイノベーション創出に向けて、既存の枠組みを超えた総合的かつ新たな事業創造に繋がる施策の展開が求められている。

参考文献

泉谷渉・伊中義明(2021)『日本半導体産業激動の21年史・上下巻』産業タイムズ社。
太田泰彦(2021)『2030年半導体の地政学』日本経済新聞出版。
岡野秀之(2023)「シン・シリコンアイランドへの道筋」『九州経済調査月報Vol.77-9』九州経済調査協会、2-11。
岡野秀之(2023)「シリコンアイランドの進化の系譜とイノベーション」『産業学会研究年報第38号』産業学会、13-31。
岡野秀之(2019)「九州におけるクラウド時代のスマートシリコンクラスター」、山﨑朗編著『地域産業のイノベーションシステム~集積と連携が生む都市の経済』学芸出版社、80-104。
岡野秀之(2011)「産業空間のネットワーク化と地域産業活性化-九州半導体産業の波及・融合・進化の事例を通じて-」、塩見英治・山崎朗編著『人口減少下の制度改革と地域政策』中央大学出版部、145-160。
九州半導体人材育成等コンソーシアム(2022)『シリコンアイランド九州の復活に向けて~2030年の日本社会を支える九州であり続けるために~』九州半導体人材育成等コンソーシアム。
九州半導体・エレクトロニクスイノベーション協議会(2022)『九州半導体関連企業サプライチェーンマップ』九州半導体・エレクトロニクスイノベーション協議会。
クリス・ミラー著、千葉敏生訳(2023)『半導体戦争~世界最重要テクノロジーをめぐる国家間の攻防』ダイヤモンド社。
経済産業省(2021)『半導体・デジタル産業戦略』経済産業省。
経済産業省(2022)『次世代半導体の設計・製造基盤確立に向けて』経済産業省。
経済産業省(2023)『半導体・デジタル産業戦略(改定)』経済産業省。
産業タイムズ社(2022)『半導体産業計画総覧2022-2023年度版』産業タイムズ社。
友景肇監修、ふくおかフィナンシャルグループ・九州経済調査協会編(2009)『シリコンアイランド九州の革新者たち』西日本新聞社。
山﨑朗編著、九州経済調査協会・国際東アジア研究センター編(2008)『半導体クラスターのイノベーション-日中韓台の競争と連携』中央経済社。

著者プロフィール

岡野 秀之 (おかの ひでゆき)

公益財団法人九州経済調査協会 常務理事兼事業開発部長

1973年横浜市生まれ、北九州市戸畑区育ち。九州大学大学院比較社会文化研究科修了。1997年財団法人九州経済調査協会入社。調査研究部研究主査、主任研究員、総務企画部次長、調査研究部長、事業開発部長兼BIZCOLI館長などを経て2023年6月から現職。専門は、地域経済論、産業配置論、地域産業政策論。長年に渡って半導体産業を切り口に「産業クラスターと地域産業」に関する調査研究と政策立案に従事。2014年~2016年版九州経済白書の総論を担当。近年は、経済図書館BIZCOLIやデータサラダ(クラウドの地域経済データベース)、おでかけウォッチャー(スマートフォンの位置情報による観光人流分析ツール)などの新事業開発を手がける。主な著書に『シリコンアイランド九州の革新者たち』(共編著)西日本新聞社、『半導体クラスターのイノベーション~日中韓台の競争と連携』(共編著)中央経済社、『地域産業のイノベーションシステム:集積と連携が生む都市の経済』(共著)学芸出版社などがある。