社会的共通資本のための制度設計

2022年11月号

松島 斉 (まつしま ひとし)

東京大学大学院経済学研究科 教授/社会的共通資本寄付講座 特任教授

(本稿は2022年8月5日に東京で開催された講演会(オンラインWebセミナー)の要旨を事務局にて取りまとめたものである。)
1. 社会的共通資本とは
2. 制度設計の経済学とは
3. フリーライダー問題と新しいレジーム
4. 慎重なコミットメントルール
5. 新しい社会主義の温暖化国際交渉への応用
6. 新しい資本主義と新しい社会主義の共生

1. 社会的共通資本とは

数理経済学者の宇沢弘文先生は、社会的共通資本を「すべての人びとがゆたかな経済生活を営み、すぐれた文化を展開し、人間的に魅力ある社会を持続的、安定的に維持することを可能にするような社会的装置」と定義しています。この社会的共通資本は便宜的に、自然資本、社会インフラ、制度資本の3つに分けられます。より具体的には、自然資本は大気・森林・水資源・種の絶滅・温暖化等、社会インフラは水道・電力・交通・サイバースペース(コンピュータやネットワーク上に構築された仮想的な空間)等、制度資本は教育・医療・食料・金融等が該当します。
社会的共通資本という言葉を経済学に寄せるとコモンズ、つまり社会における共有資源となります。しかし、コモンズには「コモンズの悲劇」といわれる解決しにくい問題があります。共有資源の利用をきちんと管理しないと、利用競合性の問題が起こり、コモンズの仕組みはいずれ劣化し枯渇してしまいます。一方で、利用者の権利は保護されなければなりません。この2つを両立させることは難しく、市場、政府、コミュニティ(暗黙の協調)だけでは解決できません。
いま、コモンズの多くはグローバル・コモンズ、つまり1つでなく複数の地域や国にまたがる関心事になっています。この代表例が地球温暖化です。そして、環境、社会、経済をトリプルボトムラインとして融合させてコモンズを維持管理していく方向性を目指そうとしています。たとえば国連は、SDGsとしてエシカル(倫理的)な行動を促す啓発運動に取り組み、国連内に設置された委員会であるCOPにおいて、地球温暖化対策、CO2削減の合意形成に向けた国際交渉を年に1度開催しています。
しかし、グローバル・コモンズの観点からこの問題を統治するような強制力ある機構は存在せず、市場だけでも解決できそうにない状況です。また、国家間におけるコミュニティ的な暗黙の協調を模索するやり方はむしろ対立を煽ってしまう危険性があります。そのため、新たに「第4の仕組み」を知恵を絞って考えださなければなりません。そこで有用となるのが、制度設計の経済学です。

2. 制度設計の経済学とは

制度設計の経済学とは、ある課題解決に対し「ゲーム理論」を用いて制度設計する考え方です。具体例でご説明します。
1例目は、空港テロ対策の例です。ある空港にA・Bのターミナルがあります。例えば、5分の3の確率で3,000人が利用するAの警備をする、残りの5分の2の確率で2,000人が利用するBの警備をするといった具合に、政府が警備計画をマシーンによってランダムに決定していきます。すると、テロリストはテロ対策のパターンを読み込めず、A・Bともに平均1,200人の被害を生み出す程度であればテロをやっても意味がないとして撤退します。ランダムプレイの導入によってテロリストと政府の不毛なイタチゴッコを回避できるのです。この「ミニマックス戦略」マシーンは社会実装されており、2007年ごろから世界のいくつかの空港で採用されています(図1)。

2例目は、腎臓移植の例です。臓器を提供したい人と臓器を必要としている人をマッチングさせる臓器移植ネットワークの仕組みにより、臓器移植の最適配置がなされる例です。例えば、とある国の貧しい家で腎臓病に苦しむ子どもを持つ親が、その子どもを臓器移植ネットワークに登録し、同時に親も腎臓の寄付登録をします。一方でアメリカの裕福な家の子どもも腎臓病で、その子の親も腎臓の寄付登録をしています。この貧しい家の子どもとアメリカの裕福な家の子どもでよい適合条件下でマッチできるとすると、貧困の家族はタダで渡米でき、臓器移植手術を行い、親は相手の子どもに腎臓を提供できることが考えられます。なぜならアメリカ側は感謝のあまり飛行機代を出そうとするからです。これは「マッチング・マーケットデザイン」というゲーム理論の制度設計を用いて初めて現実味を帯びる、社会実装の美しい姿です。
3例目は、サーキュラーエコノミーのためのオークション設計の例です。使用済みPETボトルはエコへの関心の高まりのため高価になってきています。この再利用資源の配分をめぐり、2022年に東京大学マーケットデザインセンター(UTMD)はオークション市場を適切にデザインする新しい政策を提言しました。丁度数日前(2022年7月31日)日経ヴェリタスで“「地上油田」入札、東大が改革提言”という見出しの記事が出て話題になりました。これも今後の社会実装につながるよい一例です。
しかし、これらには大きな落とし穴もあります。不用意に制度設計をすると、むしろ反社会的になりかねないからです。
その一例は、学校選択に無思慮にマッチングを使うことです。親が子の学校を選択する制度は世界中で普及していますが、OECDの調査では、この制度設計によって富裕層が集まる学校だけ教育水準が高いという形で社会分断が助長されてしまうのではないかということが懸念されています。
オークションを不用意に導入すると、生活基盤を支える産業が衰退する可能性もあります。また、効率にとらわれすぎて道徳的配慮に欠ける危険性もあります。例えば、貧困層のAさんと富裕層のBさんがマスクについてオークションに参加した場合、Aさんはマスクを持っていないのに100円でしか買えないので100円で入札、Bさんはマスクをすでに持っているのですがもう1枚欲しいので500円で入札すると、Bさんが勝ちAさんはマスクを全く手にできないという悪しき事態がおこります。命はお金に代えられません。オークションの導入には温かい心による慎重な制度設計が必要です。
排出権取引市場構想にも落とし穴があります。1997年にCOP3京都会議で、世界全体のCO2排出量削減目標が定められ、各国にCO2排出枠が割り当てられることが提案されました。それは、各国間がCO2排出枠を売買することにより、効率的な経済活動がグローバルに達成できるという提案です。しかし、宇沢先生は当初から「これは反社会的提案だ」と批判していました。これまでCO2排出量を削減しようとしていた各国の協調が責任の押し付け合いに一変し、自国にとって都合のよい主張だけをするという国家間対立の悪しき図式となってしまうからです。
制度設計の経済学の理想型は、制度設計の「純粋理論」、「社会実装」、「エビデンス」の三本の柱から成ります。わかりやすい理論(純粋理論)には、さまざまな問題に対して一貫した説明力を持つことが求められます(One size fits all)。その一方で、社会実装にはもっと暖かい心が必要であり、状況に応じた柔軟な対処が要求されるのです(One size never fits all)。この2つを結びつける議論が、社会的共通資本の問題解決に繋がります。制度設計の経済学と社会的共通資本は切り離せない関係にあるのです。

3. フリーライダー問題と新しいレジーム

コモンズ(社会的共通資本)の問題解決が容易ではない理由に、「フリーライダー問題」があります。世界中の市民がコモンズのことを正しく理解し、自国の将来のことも充分に考慮し、世界全体の達成目標について合意できたとしても、悲劇は起きてしまいます。解決には、新しい社会の仕組み、新しいレジームが必要になります。
例として、3人の経済主体が公共財を自発的に供給する状況を考えてみます。1人1単位当たりの供給に12万円のコストがかかりますが、これにより11万円のメリットが得られるとします。この人にとっては1万円を損することにはなりますが、他の2人にも11万円ずつメリットが発生するならば全部で33万円のメリットとなり、これが、この人が12万円を払うことで生み出される社会的価値となります。つまり、実質的に33万円-12万円=21万円分のメリットが社会全体に生まれることになります。しかし、ならば1人が1単位を追加供給するかといえば、1万円を私的には損するために供給したくない、となってしまいます。これがフリーライダー問題です(図2)。誰もが供給するインセンティブをもたない「社会的ジレンマ」とも言い換えられます。

そこで提案したいレジームは、「新しい社会主義」と「新しい資本主義」です。この2つの共通項は、トップダウン型の統治機構に頼らない分権的システムであることです。
新しい社会主義とは、協調を重視するレジームです。そして、個人の利己的動機を容認したうえで、分権的仕組みの代表であるマーケット等とは異なる、非市場的な制度設計を重視します。一方、新しい資本主義とは、競争(マーケット)を重視するレジームです。そして、人びとからエシカルな動機を引き出すために新しい制度設計を考えていくという枠組みです。これは自由放任でもあるため、広義の新自由主義ともいえましょう。この二つのレジームがきちんと確立し、共生することが肝心です。
この二つのレジームが扱うコモンズは性質が異なります。新しい資本主義は「疑似コモンズ」に、新しい社会主義は「本物のコモンズ」の解決に、それぞれ役立ちます。
疑似コモンズの問題は、ナッジ(行動科学の知見から、望ましい行動をとれるよう人を後押しするアプローチ)を使って解決します。例えば「モーゼの十戒」を朗読することにより道徳心が芽生える、または公共財を供給すると心が晴れるといった変容です。新しい資本主義にはエシカルな行動を引き出すための制度設計が重要であり、それは疑似コモンズの解決に繋がります。新しい資本主義は自由放任を尊重しますが、消費者、生産者、経営者、投資家もエシカルである必要があります。ステークホルダー型の企業統治においても、株主は単に儲かるだけではなく社会的に良いことをする会社に積極的に投資し、経営者はこのような株主の福利の視点を尊重します。このようなエシカル行動が引き出されるためにはどのような制度設計が必要になるかが重要ですが、これは未解決な課題です。
一方で、本物のコモンズの問題は、ナッジだけでは解決できません。新しい社会主義の考え方が必要です。新しい社会主義は、強制力を使わず、個別の制裁や恫喝を認めず、主権を保護し、分権的システムにこだわる仕組みです。国家主義や集権主義といったステレオタイプ化された社会主義とは真逆のイメージかと思いますが、これこそが本当の意味での社会主義です。こういった考えをもとに本物のコモンズを解決しなければなりません。具体的な解決方法として挙げられるのは、以下のような「慎重なコミットメントルール」を敷く方法です。

4. 慎重なコミットメントルール

慎重なコミットメントルールの導入によって、フリーライダー問題は以下のように解決されます。先ほどの例では、3人の経済主体が公共財を自発的に供給する際にフリーライダー問題が発生していました。ここに新たに、3人の交渉ルールとして慎重なコミットメントルールを設定すると、トリプルボトムラインができて理想的に解決できるようになります。まず、3人は委員会(Committee, COP)を設置します。この委員会は強制力を持ちませんが、3人が交渉する唯一の場になります。3人は、各自の供給量についての約束が慎重なコミットメントルールによって決められることにあらかじめ合意しておきます。そして、公共財を供給できる単位の上限をそれぞれが申請し、3人が出した上限値の中で一番低い値を申請した人には、その上限をそのまま約束させます。残りの2人は最低値ではないので、上限よりやや少なめに約束を要求すると定めます。3人とも上限が同じであれば、3人は同じ単位の最低値を約束することになります(図3)。このように、各経済主体が自身が守れる約束の範囲をアナウンスして、全体の意見で各国の約束を決めることが、慎重なコミットメントルールの独特のやり方になります。

このルールでは、約束違反をすると委員会は次期以降機能不全になり、これが事実上の制裁措置として機能することになります。しかし各経済主体には、各経済主体が守れると申請した上限以下しか約束させません。そして大事な点として、仮に上限を0にしても怒られません。つまり、約束の内容については一切咎められることはないのです。このように、慎重なコミットメントルールは各経済主体がもともと持っていた主権をそのまま保護することに大きな特徴があるのです。主権保護(ウェストファリア)体制が厳守されているといえましょう。
最適な公共財の供給とは、フリーライドのない供給のことです。これは慎重なコミットメントルールの下では実質的に唯一のナッシュ均衡となります。“あなたが「少しだけ」よりよい行動をするなら、私はよりよい行動をする”といった弱い互恵原理が効いてきます。例えば、5単位、6単位、7単位と申請した3人がいたとします。5単位の人が6単位と申請すると、6単位の人は6単位から7単位に、少しだけ行動のレベルを上げようとします。そうしてどんどん階段を上るように協調行動に繋がっていくわけです。
さらに、慎重なコミットメントルールはサステナブルなルールともいえます。委員会のメンバーに非協力的な態度をとる人がいたとします。残りのメンバーでルールを設定し直して協調関係を作ろうとした場合、この外された人は損をするかというとそうではありません。CO2削減の恩恵からの排除が不可能なため、残りのメンバーが協調してくれればそのおこぼれに預かれてタダ乗りができてしまいます。それならば、最初からわざと非協力的態度をとり、委員会に敢えて参加せずに外してもらったほうが得になってしまいます。こういったルールはサステナブルとはいえません。しかし慎重なコミットメントルールでは、こういった行動をしても得にならないようにうまくデザインされています。

5. 新しい社会主義の温暖化国際交渉への応用

毎年国連の委員会であるCOPで地球温暖化に対する具体的政策が議論されています。先述の通り、地球環境はグローバル・コモンズの代表例です。各国がCO2の排出量を削減すると大きなメリットを得られますが、削減にはコストがかかり、排除不可能性も手伝って、フリーライダー問題が生じます。温暖化の国際交渉では、国家間のフリーライダー問題がとても深刻です。話が少しもまとまらず、COPにおける国際交渉は30年間進展がありません。
この解決の糸口となるのは、新しい社会主義つまり慎重なコミットメントルールの導入です。国際交渉における理想的な解決には、インセンティブに加えて、以下の条件を制度設計の際に考慮する必要があります。①強制力のある超国家的統治機構が存在しえないこと、②参加国は自国民優先で利己的であることを容認すること、③交渉ルールはサステナブルでなければいけないこと、そして④ウェストファリア体制を厳守することです。これら条件が考慮されてはじめて、いい制度設計案が生まれます。慎重なコミットメントルールは、これらに充分配慮したうえで機能する優れた交渉ルールであり、ウェストファリア体制を厳守してくれるという大きな特典を持ちます。
COPでの現状の交渉は、各国間がCO2排出量の世界削減量目標に合意し、次に、各国に自国のCO2削減量の負担分を自主約束させ、約束が守られているかを随時チェックするという仕組みに従って進められていますが、インセンティブの仕組みを一切導入していません。ただ希望的観測にたよって、いずれ皆が世界のことを考えて理想的に約束してくれるのをじっと待つというスタイルをキープしたまま30年が経過しているのです。実際、フリーライダー問題に取り組む前に、すでに反社会的な対立の様相を呈してしまいます。各国間でCO2削減負担を押し付け合い、さらには自国のCO2大量排出の既成事実をつくる国もあります。生産拠点を経済活動にコストのかからない非協力的な国に移すいわゆる炭素リーケージの問題や、実態を伴わないのにあたかも環境に配慮した取組みをしているかのように見せるグリーンウォッシュの問題も生じています。協力する経済的メリットが自国にはデメリットになり、非協力的な国にのみメリットが発生してしまっています。
この現状打破への第一歩として提案したいのが、「世界共通の炭素価格(炭素税)」の導入です。交渉ターゲットをCO2削減負担の割り当てから共通炭素価格設定に移行させることで、各国間での負担の押し付け合い、遅延行為、炭素リーケージ、グリーンウォッシュの排除といった劇的な改善が期待できます。宇沢先生やその他有力経済学者の間では、炭素価格の優位性についてすでに見解が一致しています。
さらに、具体的な進め方として提案されるべきは、まず、委員会に参加するすべての国が共通の炭素価格に合意することです。合意された炭素価格がすべての国で共通に設定できれば、世界をまたいで最も効率的なCO2排出が可能になります。次に、慎重なコミットメントルールに従い、自国で決めた炭素価格の上限を委員会に申請します。そして、委員会は、慎重なコミットメントルールが各国に定める炭素価格水準を各国に約束させます。各国の国民は、自国が定めている炭素価格を自国に払うことで、自国政府から排出枠を買うことができます。国民が払った炭素価格は自国の国庫収入となり、社会保障費などに充てることができます。自国民は炭素価格を払いさえすればCO2をいくらでも排出できるので、かなり自由度の高いルールだといえます(図4)。共通の炭素価格目標を設定することによって各国は同じ問題解決の方向を向くことができ、フリーライダー問題に、さらには南北格差是正にも、真剣に取り組むようになります。こうして理想的にゲームチェンジが図られるのです。
現状のCOPのルールの別の代替案して、経済学者のウィリアム・ノードハウスが提唱する「気候クラブ」がありますが、これは問題のある提案です。有力国同士で気候クラブを設置し、あまりサステナブルではないルール(満場一致型のコミットメントルール)を用いて合意形成します。そして気候クラブの外の国に対しては、排除不可能性によるフリーライダー問題を防ぐため、個別の報復や恫喝を認めるのです。ウェストファリア体制からの逸脱を不可欠とするものであるため、私は新たな紛争や対立の火種を作りかねない問題のある提案だと思います。

6. 新しい資本主義と新しい社会主義の共生

CO2削減負担の割り当てから炭素価格(炭素税)へ交渉ターゲットを移行できれば、慎重なコミットメントルール、つまり新しい社会主義の導入によって協調が理屈としては可能になります。しかし社会実装をもっとまじめに考えると、そう簡単にはいかないように感じる点もあります。なぜなら、「税に対する偏見」がこの移行による成果を妨げるだろうからです。税に対する偏見がなければ、疑似コモンズのための新しい資本主義と、本物のコモンズのための新しい社会主義がうまく共生できそうです。
税に対する偏見をなくすためには、「卓越した行動経済学からの知見」が重要になります。テストの成績がよければご褒美をあげようと言うと、意欲のある生徒はかえって勉強しなくなるのと同じで、環境税を引上げるとエシカルな人がフェアトレードのコーヒーを買わなくなります。あるいは、フェアトレードコーヒーを買うと今度は環境税に反対するようになるということも起きます。この2つのどちらかをやると、自分は環境に対して十分尽くしたと思ってしまうからです。国内でいくらエシカル経済を実現させても、税に対する偏見を放置したままならば環境税に反対する人が国内でかえって増えてしまいかねない。環境税に反対する国内世論は国際協調に悪影響を与えます。1つの国が高い炭素税に反対すると国際協調の足並みが乱れてしまうからです。
この問題を防ぐため、税に対する新たなフレーミング創りも大事になりそうです。つまり、懲罰としての税という意識から、社会的共通資本に対する対価としての意識、社会的共通資本のために働きかけているという意識に移行することが必要なのです。これにより、この2つのレジームが1つの体制の中で共生し上手に機能するようになり、人びとの意識の中でも社会的共通資本がさらに大きな役割を果たしていくようになると考えます。

著者プロフィール

松島 斉 (まつしま ひとし)

東京大学大学院経済学研究科 教授/社会的共通資本寄付講座 特任教授

1988年、東京大学大学院博士課程修了。経済学博士。筑波大学助教授、東京大学助教授を経て、2002年より東京大学経済学部教授(現在)、2022年より同大学社会的共通資本寄付講座特任教授を兼務。2003年よりEconometric Society Fellow(終身特別会員)、Councilを歴任。
第10回日本経済学会中原賞受賞。
現在、日本学術会議「持続的発展のための制度設計」分科会・委員長(2018~)
専門はゲーム理論。ゲーム理論、特に繰り返しゲーム、実装、メカニズムデザインに関するこれまでの学術研究は、世界中の多くの専門研究者に知られ高い評価を受けている。現在の主な研究テーマは、コモンズのための制度設計、行動メカニズム設計、行動・倫理的実装、実験経済学、ブロックチェーンエコシステムやスマートコントラクトのゲーム理論的基盤である。
著書 「ゲーム理論はアートー社会の仕組みを思いつくための繊細な哲学」(日本評論社、2018年)
また、本講演と関連の深いワーキングペーパーに「社会的共通資本のための制度設計」(CARF-J-115)https://www.carf.e.u-tokyo.ac.jp/research/w12189/がある。