編集後記 2021年3月号
2021年3月号
数年前、経営学を研究している大学時代の友人に、「今、経営学の分野で読むべき本は何か」と問うたところ、一冊は『エフェクチュエーション』(サラス・サラスバシー著)で、科学的に「イノベーションの発生要素」を捉える研究の流れを良くキャプチャーした書籍でした。そしてもう一冊は『ハイテク・クラスターの形成とローカル・イニシアティブ』というタイトルの大著だったのですが、これはテキサス州オースティンに関する書籍であり、「エコシステム形成の深掘り度合いが他の研究とは違う」ということで薦められたのです。この時期、私が日本政策投資銀行の業務でシリコンバレーなどにてファンド投資活動をスタートし、さまざまな刺激を受けていたこともあり、「歴史の重層性」や「必然と偶然」が生み出す事象の捉え方という観点で多くの学びを得ることができました。
今号は、その後者の著者である福嶋路先生に本特集への寄稿をいただきました。寄稿のお願いは、日本政策投資銀行 東北支店からのものであり、上述の流れとは何のリンクもないのですが、「地域における一種の継続性」という観点からイノベーション・レジリエンス双方に共通する要素があることを、原稿を拝読して実感した次第です。
目黒公郎先生の玉稿も今号から3回に亘って掲載する予定です。今後も特集やテーマに沿った先生方の原稿をお届けしつつ、現実の社会課題をアカデミズムの側面からクローズアップしていきます。
これからも、賛助会員の皆様へのサービス向上を目指して誌面を充実させていきますので、引き続きご支援を賜りますようお願い申し上げます。