編集後記 2022年4月号

2022年4月号

饗場 聖子 (あいば せいこ)

一般財団法人日本経済研究所(「日経研月報」副編集長)

イノベーションについて、弊誌では、弊財団内のイノベーション創造センター(旧 技術事業化支援センター)の企画のもと、過去3回に亘り特集化しました(「イノベーションの社会実装を俯瞰する(2019.11)」、「最新技術イノベーション特集号(2020.12)」、「人にやさしいスマートシティとは(2021.12)」)。また、これらとは別の切り口で特集化したのが、「デジタル×テクノロジー特集(2021.7)」です。この際、DBJ 産業調査部の青木様に特集寄稿の依頼先をアレンジいただきましたが、今号で再び、青木様をはじめ蛭間様や石村様にも貴重な人脈をご紹介いただき、ヒアリングからゲラ化に至るまで多大なご協力をいただきました。
今号の特集は、「イノベーションの社会的意義」です。ソーシャルイノベーションによる日本社会の変え方に対する議論や、日本の各地域で課題となっている農産物物流に対するロジスティクス改革のご示唆、VR/AR/MR を普及させていくことによる社会的意義、自治体と共に地域課題の解決に取り組む実例など、社会的意義の観点からイノベーションを考察する原稿で構成されています。さらに、「明日を読む」コラムの京都大学経済研究所 宇南山教授にも、イノベーションに対する政府の役割について大所高所からのご示唆をいただきました(宇南山先生、特集にあわせたコラムをありがとうございます)。あわせてお読みいただければ幸いです。
また、特別研究の本シリーズ第4回として、コロナによる欧州経済の影響について関西大学商学部 高屋教授にご寄稿いただいたのですが、まさにその校正中に、ロシア軍によるウクライナ侵攻のニュースが飛び込んできました。高屋先生には、原稿末尾に「付記」として本件について触れていただきました。今の時代に起きていることとは思えない戦争の、一刻も早い解決を心より願っております。
今号から表紙の装丁が変わりました。コロナの状況は依然として落ち着きませんが、WATALIS 社からいただいたご紹介文にありますように(引地社長、この度も素敵な文章をありがとうございます)、寒い冬でも葉を落とさない春の瑞兆花「椿」の聖なる力と共に、今後もみなさまにパワーを届けられたらと思います。

著者プロフィール

饗場 聖子 (あいば せいこ)

一般財団法人日本経済研究所(「日経研月報」副編集長)