編集後記 2023年10-11月号

2023年10-11月号

饗場 聖子 (あいば せいこ)

一般財団法人日本経済研究所(「日経研月報」副編集長)

秋分を過ぎたら厳しい暑さから一変、秋めいて過ごしやすくなりました。今年のような酷暑は、これから見頃になる紅葉の美しさに影響を及ぼすのでしょうか。Web の天気予報によれば、猛暑や雨量の少なさが原因で葉が変形してしまい紅葉の見栄えが損われることはあっても、時期や美しさにはそれほど影響はないようです。
さて、今号の特集は「森林資源」特集です。都会で生活していると、日常で森林に触れることは殆どなく、登山やハイキング、観光などを通じて触れる程度かと思います。そしてこのような森林は人の手が入りきちんと管理されているわけですが、鍋山氏によれば、問題なのは、人工林の伐採跡地に再造林しない再造林放棄の実態があるということです。その面積は人工林伐採跡地の6~7割に上るとのこと。特集寄稿では、こういった問題に対する提言をはじめ、林業政策の重鎮である酒井氏より、森林資源を循環再生資源として活用する欧州での「木質バイオマス」ビジネスモデルの紹介、さらに、林業政策を立案する側から現場である山側に立場を変え、森を「モリアゲ」るために起業した長野氏へのインタビュー記事を掲載しています。そして巻頭言には、森林資源を含めた自然資本に対し「ネイチャーポジティブ」の観点からさまざまな施策を打ち出している環境省自然環境局の白石氏より、貴重なお言葉をいただきました。企業の方々が必要としている情報や政策に対する環境省の取組みなどにも言及されていますので、企業の皆さまにとっても非常にいいガイダンスになり得るものと思います。ぜひご一読ください。
これからも賛助会員の皆様へのサービス向上を目指して誌面を充実させていきますので、引き続きご支援を賜りますようお願い申し上げます。

著者プロフィール

饗場 聖子 (あいば せいこ)

一般財団法人日本経済研究所(「日経研月報」副編集長)