イノベーション。本誌では、このテーマを常に意識していますが、本号ではイノベーションに関わるさまざまな論考を掲載し、注目と期待が高まっている「半導体」と共に特集しました。半導体産業と一口で言っても、それはさまざまな部分から成るエコシステムです。
安浦氏の講演録では、現代の半導体産業を江戸時代の浮世絵の産業構造に例えて、同産業の構造や技術をわかりやすく語っていただきました。また、トップアナリストの南川氏には米中が対立する世界の中での日本の半導体産業の立ち位置を俯瞰いただくとともに、岡野氏には「再起動」した九州半導体産業のポテンシャルを、木村氏には注目されるラピダスの動きを含めて述べていただきました。これらを読んでいただきますと、日本の半導体産業が栄華を誇った1980年代から、なぜ衰退し、なぜ今チャンスが訪れているのか、チャンスをものにするには何が必要なのかをご理解いただけると思います。また、半導体を巡る動きの背景ともなっている地政学リスクについては、今年連載してきた「高まる地政学リスクと日本経済」に関するシリーズ論文全体を福田氏に総括いただきましたので、ぜひご一読下さい。