編集後記 2024年10-11月号
2024年10-11月号
今年の夏は、パリオリンピック・パラリンピックが大変な盛り上がりを見せました。日本選手団の活躍、アーバンスポーツに対する人気の高さ、開会式・閉会式の大胆な演出等さまざまな面で注目を集めましたが、とりわけ、史上最もサステナブルな大会を目指したさまざまな取組みが印象的でした。既存施設を活かした会場整備、使い捨てプラスチックの使用禁止や観客のマイボトル持参、温室効果ガスの排出量削減に向けた取組み等が報じられ、改めてサステナビリティについて考える良い機会になったと感じています。
さて、今号の特集は「サステナブルな未来へ」です。防災・危機管理における事前対策の重要性(山村氏)、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)の最新動向(田中氏・杉本氏)、近時注目を集めるネイチャーポジティブをどのように捉えるか(阿久津氏)、災害レジリエンスの高い社会の実現に向けたBCM の動向(松浦氏)などを掲載しています。また、サステナビリティの先駆的な概念として注目が高まっている社会的共通資本に関して、『サステナビリティの経済哲学』を上梓された松島氏の最新の研究成果、社会的共通資本を提唱した宇沢弘文先生の没後10年記念シンポジウムの開催報告なども紹介しています。
2015年9月の国連サミットで採択された持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)は、2030年がターゲットになっています。あと6年となり、ポストSDGs の議論も始まっています。当研究所も、サステナブルな未来に向けて、「SDGs 研究センター」を中心にさまざまな取組みに関する調査・研究を進め、長期的な目線で社会課題の解決に貢献していきたいと考えています。