『日経研月報』特集より

2か国のパビリオンアンバサダーとして~音楽の力で世界に希望を~

2025年2-3月号

西本 智実 (にしもと ともみ)

指揮者

大変光栄なことに、2024年2月イタリア政府万博担当大臣より大阪・関西万博に出展するイタリアパビリオンの「アンバサダー」に任命されました。イタリアパビリオンのテーマは「Art Regenerates Life(芸術は生命を再生する)」です。オペラの国でもあるイタリアは、数多の名曲やカンツォーネなど日本でも大変人気があります。私は音楽プロデューサー・音楽ディレクターとして、誰もが知っているようなポピュラーな作品をプログラムに取り入れた音楽イベントを現在制作中で、多面的且つ積極的に取り組んでいます。その一環として今年5月に横浜(5/15みなとみらいホール)と大阪(5/25ザ・シンフォニーホール)でコンサート開催が決定しています。(詳細は西本智実ホームページ(https://www.tomomi-n.com/ja/)をご参照ください。)
さらに6月には、イタリアパビリオン内に設置されるローマ教皇庁パビリオン(バチカン館)最高責任者であるフィジケラ大司教よりバチカン館アンバサダーに任命されました。ローマ教皇庁パビリオンのテーマは「La Bellezza porta Speranza(美は希望をもたらす)」です。私は2013年から毎年バチカン国際音楽祭に招聘され、日本とローマ教皇庁との文化交流を深めていますが、このテーマでは、美の変革力を通じて、より良い世界への希望を呼び起こすことが強調されています。また、館内には、カラヴァッジョの「十字架降架」が展示されることが決まりました。そして、私が研究しております「天正遣欧少年使節」が持ち帰った当時の音楽は、聚楽第に於いて太閤秀吉の御前演奏として披露されたとの記録が遺されており、今回その作品の再現演奏も予定しています。大航海時代のルネサンスの音楽やミサ曲がパビリオンの魅力をさらに高めるべく、関係者と日々調整を進めています。

2022年秋、弊誌は指揮者の西本智実さんにインタビューを行いました。西本さんは、世界各国のオーケストラや国立歌劇場、国際音楽祭から招聘されて指揮を執るとともに、芸術を科学的に捉え新たな価値を創出する研究者としてのイノベーティブな取組みも続けています。(詳細は『日経研月報2022年12月号イノベーション特集~異分野融合と新価値創造~』に掲載。)令和6年度には、「文化庁長官特別表彰」が授与されました。
弊誌は今号の「大阪・関西万博特集」にあたり、西本さんがイタリアとローマ教皇庁の2か国のパビリオンのアンバサダーに就任されたことを受け、西本さんに再びご協力をお願いしました。次号以降で、これらの取組概要やこの活動を通じたメッセージ等に関して、西本さんより詳しくご紹介いただく予定です。

著者プロフィール

西本 智実 (にしもと ともみ)

指揮者

世界各国を代表するオーケストラ・名門国立歌劇場・国際音楽祭より招聘。ハーバード大学ケネディスクール“エグゼクティブ・エデュケーション”修了。ダボス会議(WEF)「2030年イニシアティブ」に取り組むヤンググローバルリーダー、大阪音楽大学客員教授、ビューティー&ウェルネス専門職大学客員教授、広州大劇院名誉芸術顧問、大阪国際文化大使、東洋文庫諮問委員、慶応義塾大学SFC研究所上席所員を経て広島大学特命教授/上席特任学術研究員に着任し国の科学プログラムにPrincipal Investigatorとして従事。
『平城遷都1300年記念公演』、『高野山開創1200年記念法要』、『泉涌寺/東寺 音舞台』、『ラクイラ音楽ホール落成コンサート』、『日ブラジル外交関係樹立120周年』、『ペルー共和国独立記念コンサート』、北京大劇院における『日中平和友好条約締結40周年』、2013年からバチカン国際音楽祭に招聘され、サンピエトロ大聖堂ミサでの演奏はバチカン放送により世界各地に放送されるなど、歴史的演奏会を指揮。
芸術監督としての舞台演出・指揮『泉涌寺音舞台』は【ニューヨークUS国際映像祭 TVパフォーミングアーツ部門銀賞】【ワールドメディアフェスティバル ドキュメンタリー芸術番組部門銀賞】受賞。Fondazione pro Musica e Arte Sacra「名誉賞」、内閣官房国家戦略室「国家戦略担当大臣サンクスレター」など受賞多数。
2015年・2016年G7サミットでは海外向け日本国テレビCMに起用。日本を代表する芸術家として、ドキュメンタリー番組がCNNインターナショナル、ZDF、独仏共同テレビArteなどで放送・配信されている。
令和6年度文化庁長官特別表彰。