TCFD開示をめぐる最新動向と今後の展望~SDGsに関する情報開示と企業経営②~
2022年4月号
(本稿は、2022年1月18日に東京で開催された講演会(オンラインWebセミナー)の要旨を事務局にて取りまとめたものである。
1. はじめに
「TCFD開示を巡る最新動向と今後の展望」の問題意識
(株)日本政策投資銀行設備投資研究所 エグゼクティブフェロー 兼 副所長 竹ケ原啓介
2. プレゼンテーション1
「住友化学の気候変動対応への取組み」
住友化学(株) コーポレートコミュニケーション部長 山内 利博
3. プレゼンテーション2
「アセットマネジメントOneの気候変動への取組み」
アセットマネジメントOne(株) 運用本部責任投資グループ長 寺沢 徹
4. クロストーク
1. はじめに
竹ケ原 2021年8月に公表されたIPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change:気候変動に関する政府間パネル)の第6次報告は、「地球温暖化は人為的に引き起こされたのか?」という長年の問いかけに対し、「疑う余地がない」と断言しました。これに先立つ3ヶ月前、IEA(International Energy Agency:国際エネルギー機関)から、それまでのトーンとは一線を画すNet Zeroレポートが発行され、2050年にネットゼロを達成するためのシナリオを提示されました。こうした前奏を経て開催されたCOP26のハイライトが、パリ協定で合意されたいわゆる2℃目標を1.5℃目標に書き換えることだったのは、皆さまご存じの通りです。
IEAのレポートでは、2050年カーボンニュートラルというゴールに向けて、2030年までは主に再エネ(風力、太陽光)、電化、省エネが担い手となり、その後は、より一層の電化の進展、CCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)そして行動変容の寄与が必要になるとしています。別の表現を用いれば、2030年までは現在手に入る技術の総動員、それ以後はイノベーションの実装により2050年のネットゼロにたどり着く、という段階的なアプローチが予見されています。後段のイノベーションについては、日本でも2021年6月にグリーン成長戦略が定められ、議論が進んでいます。
イノベーションの実装には膨大な投資が必要です。EUタクソノミーの整備にみられるように、そのための資金をどう引きつけるかグローバルな競争が展開されています。その主たるターゲットが、ESG(Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)投資(いわゆるサステナブル投資)です。GSIR(Global Sustainable Investment Review)の集計によれば、2020年に35兆米ドル(約4,000兆円)もの膨大な資金がESG投資に向けられています。企業は今、このESG投資を味方につけて、有利な条件でトランジションフェーズ、イノベーション実装を進めていけるかが問われています。日本も例外ではなく、2015年のGPIF宣言(注1)以降、急速にESG投資のメインストリーム化が進んでおり、ESG投資家に訴求するための情報開示のあり方が関心事になっています。そのためのツールが、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures(以下、TCFD))です。
気候変動対応を情報開示するうえで大きな論点は、企業のトランジション戦略でしょう。トランジション段階からイノベーション実装へと直線的にGHG排出量の削減を描ける企業は、投資家との対話に大きな問題はないでしょう。しかし、多くの企業は、しばらくは投入可能な省エネ技術等をやりきり、その後実装されてくるイノベーションを活用して急速に削減量を減少するパスを描くことになります。この場合、GHG排出削減カーブの傾きはトランジション段階では緩く、その後急になる形となり、理想とされる直線的な減少カーブとはかい離してしまいます。これが十分合理的であり、かつトランジション段階がサポートされて初めてイノベーションに接続出来るというロジックを、投資家に対してどう説いていくのか、が問われています。その道具になるのがTCFDなのです。
TCFDは、あくまで気候変動対応を自社の財務情報として開示するための任意のフレームワークですが、足元で進む非財務情報開示の国際的な収れんの動きのなかで、事実上の国際標準になりつつあります。幸い、日本はTCFDへの賛同機関数が最も多く、この世界では一定の発言力を持っています。そのきっかけとなったのは、2019年に経産省の主導で発足したTCFDコンソーシアムでした。本日お招きしたお二人とは、このコンソーシアムで、情報の開示と利用の両面から色々と議論をさせていただいています。最前線の観点をシェアいただけると楽しみです。
TCFDがメインになると思いますが、可能であれば少し射程を広げられればとも思います。例えば、今注目されているマテリアリティのゆらぎの問題です。これまでは長期的な企業価値に直接影響する課題を指していましたが、もう少し広く捉えるべきではないかという議論があります。俗にシングルマテリアリティかダブルマテリアリティか、と呼ばれる問題です。実際には、気候変動がそうであるように、長期的には幅広いテーマも企業価値に直結する問題として認識されてくるので、柔軟な構えを持っていれば良いという方向で決着しつつあると認識していますが、そうなると気になるのが、気候変動の次に来るテーマは何かという点です。例えば、自然資本を巡るネイチャー・ポジティブ。2021年6月にはTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)が立ち上がりましたが、これが次のテーマになるのでしょうか。この辺についても感触をうかがえると有難いです。
2. プレゼンテーション1
山内 住友化学は、住友の事業精神である「自利利他公私一如」のもと、経済価値と社会価値を一体的に創出し、サステナブルな社会の実現に貢献することを目指しており、総合化学メーカーとしてさまざまな素材やソリューションを提供しています。
当社は気候変動問題を化学で取り組むべき社会課題として捉え、早くから対応に取り組んできました。2000年に専門組織を設置し、2017年にはTCFD提言への賛同を表明、2018年には当社グループのGHG排出削減目標についてSBT(Science Based Target)の認定(注2)を取得する等、気候変動問題に率先して取り組んできました。2021年は、当社内にカーボンニュートラル戦略審議会やプラスチック資源循環事業化推進室等を設置し、同年12月にはGHG排出削減目標を大幅に上方修正し、SBT認定でWB2.0℃目標の認定を取得しました。同時に、科学的・論理的・定量的に裏付けられた計画にもとづき当社グループの製造活動におけるGHG排出量をゼロに近づける「責務」と、製品・技術の提供を通じて世界のGHGを削減する「貢献」の両面から2050年カーボンニュートラルを実現するためのグランドデザインを策定しました。
まず「責務」についてご説明します。当社グループのGHG排出量については、2030年までに2013年度比50%削減、2050年にネットゼロの達成を目指しています。2020年度におけるGHG排出量の内訳は、約70%が自家発電での燃料に由来し、約15%が製造プロセス由来のため、Scope1(事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス))でのGHG排出量は全体の約85%となります。2030年までのGHGの50%削減については、石炭・重油および石油コークスからLNGへの燃料転換などのトランジションを中心に、自らが直接排出しているScope1のGHG削減を進めております。一方で2050年のカーボンニュートラル実現を見据えると、最終的にはCO2排出のないクリーン燃料への転換が必須です。そこでクリーンアンモニアに着目し、その調達と利活用の検討としてノルウェーのYARA社との協業、また、国内化学会社3社と共同でクリーンアンモニアの安定確保に向けた検討を開始しました。
次に、「貢献」についてご説明します。GHG削減に貢献する当社独自の技術の一つに、ポリウレタン原料であるプロピレンオキサイドの製造技術が挙げられます。他の製法と比較し約30%のGHG削減効果があり、積極的に技術ライセンスを展開しています。2025年には当社技術により世界で年間約220万トンのGHG削減効果が期待できると試算しています。また、高分子材料の設計技術を駆使した蓄熱樹脂材料は、材料自体が熱を出し入れする機能を有し、且つさまざまな形状に加工できます。この特長を活かし、ゼロエミッションハウス等の建築材、蒲団材等に採用されています。さらに、社会のGHG削減には製品のカーボンフットプリント(CFP)の評価が重要となりますが、当社では化学品の製造プロセス特有の条件をパターン設定し、簡単にCFPが計算できるツールを開発し、約2万品目に及ぶ当社全製品のCFP評価を完了したところです。今後は取引先をはじめ利用を希望される企業に当該ツールを無償提供し、産業界全体でのCFP評価に貢献したいと考えています。
次に、リサイクル技術の開発とプラスチック資源循環システムの構築についてご紹介します。現在、使用後のプラスチックの多くは回収後に熱源として活用されますが、これはGHGの排出を伴います。この廃プラスチックを重要な炭素資源と捉え、マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクルの開発とその社会実装を進めています。それには市場開拓も重要であり、リサイクル材料の価値を共有する場としてMeguriブランドを立ち上げました。
当社の開示分野では、統合報告書に気候変動対応への取組みを開示しています。2021年度から、1.5℃と4℃のシナリオを用いて概略を分析する等、よりTCFDの枠組みに沿った開示をしています。さまざまなリスクを踏まえたうえでポジティブ、ネガティブ両面から事業へのインパクトを見出しています。さらに、ESGの外部評価対応にも力を入れています。比較的高評価をいただいており、特に気候変動に関しては、多くの金融機関が利用されているCDP(注3)において、当社は今年も最高評価Aを維持できました。今後とも、当社におけるカーボンニュートラルに向けた取組みの推進にあわせて、情報開示の充実を図っていきます。
3. プレゼンテーション2
寺沢 アセットマネジメントOneは2016年10月、資産運用会社3社とみずほ信託銀行の資産運用部門が統合され、発足しました。当社の資産運用残高は約50兆円、日本株式は約21兆円に上り、国内の資産運用会社では第2位の規模を誇ります。
2020年度に実施したエンゲージメント社数は2,057件(延べ870社)で、その約3分の2がESG関連です。パッシブ運用に関するエンゲージメントでは、市場全体の底上げを狙い、リスクとリターンの双方の観点から企業と対話するCSV(Creating Shared Value:共有価値の創造)的発想を重視し、企業が存続する限り投資を続ける特徴があります。同様にESGにも長期目線が求められ、どのぐらいの期間を見据えているかが重要なテーマですが、この認識のギャップが、投資家と投資先企業の間に多く存在しています。
当社が重点としているESGのテーマは、気候変動、人権、地方創生、サプライチェーン、サーキュラーエコノミー、DXです。さらに20のESG課題を掲げています(図4)。またパッシブ運用では、重点的に対話する企業約200社を選出し、この課題の中から各社課題を設定したうえで、その共有から解決に至るまで8段階のきめ細かなマイルストーンで管理しています。この仕組みはGPIFからも高い評価をいただいています。
現在の人類による消費の大きさをみると、地球1個分の生産量に対して1.7個分を利用している計算になります。この現状を踏まえ、21世紀には、将来世代に迷惑をかけることなく現在世代の需要を満たす発展、すなわち持続可能な発展が求められています。企業には環境・社会問題を意識した経営と、経営のためのガバナンス体制の構築が求められるなかで、当社は、当社としての考え方を提示、調査し、ESGのエンゲージメントを進めています。
また、エンゲージメントのみならず、気候変動関連を中心とした多くの団体に参画しています。2017年、TCFD発足直後にできたClimate Action 100+は、CalPERSやCALSTRS等、GHGを多く排出する100社程度が参画する共同エンゲージメントです。また、2020年12月、2050年ネットゼロ目標の支援をコミットする運用会社Net Zero Asset Managers Initiative(NZAMI)が設立され、当社はNZAMIのアドバイザリーグループのメンバーとして、東アジアから唯一参画しています。NZAMIは運用機関にもコミットメントを課しています。当社のポートフォリオについても、運用資産のうちの何割が2050年ネットゼロ目標に適合しているかという中間目標を開示する必要があるため、企業の方にもプロセスの取組開示をお願いしています。
当社は、2050年のネットゼロに向けた中間目標を2030年に30兆円と策定し、投資の力で未来を育むというコーポレートメッセージを掲げました。ダブルマテリアリティの考え方のもと、気候変動を主軸に掲げています。
また、PAIIフレームワーク(注4)に則り、5段階のプロセスでどのように進めていくかを議論しています。
当社の中間目標は非常にチャレンジングですが、2050年のネットゼロは1社だけでは絶対に達成できません。投資先企業、制度を司る当局、インデックスベンダー、アセットオーナーとの協力が重要です。今は図6のWAVE2の始まりであり、今後もさらに制度化を進めて推進力を強め、2050年のネットゼロ達成に向けた大きなうねりに繋げていけたらと考えています。
4. クロストーク
竹ケ原 TCFDフレームワークの今後の展望についてお聞かせください。
山内 開示だけを先行させるのは適切ではなく、企業の戦略にもとづく開示を行わないと形式的なものとなり、有益な情報開示とは言えないと考えています。現在、TCFDフレームワークに準拠した開示を行っている企業は限られており、まずは裾野を広げていくことが必要です。また、GHG削減はコストも考慮しながら進めていく必要があり、各産業、各企業が置かれた状況でその対応は異なります。情報開示にあたっては各企業の戦略やビジネスモデルと合わせた開示、説明が必要であり、その準備には時間を要すると思われます。ゴールに向けて焦らず段階的に行う必要があります。
竹ケ原 ISSB(国際サステナビリティ基準審議会)による非財務情報開示の収れんでもTCFDのフレームワークが参照されるなど、さまざまな動きがあります。説得力ある開示をしたい側からすると、どういった方向に向かうのでしょうか。
山内 複数の基準が乱立している状態からすれば、グローバルに統一されていくことは企業側としても歓迎すべきですが、やや義務化の色合いが濃いように感じています。投資家のリクエストはしっかり受け止めなければなりませんが、先に申し上げたように形式的な開示を避ける意味でも企業の実態に即した柔軟な開示が認められることが、投資家と企業の双方にメリットがあると考えています。今後の企業側の情報開示の進展にも注目していただきたいと思います。
寺沢 TCFDで規定されているガバナンス・戦略・リスク管理・KPI(指標と目標)は、統合報告はじめ企業全体の情報開示にとって重要な内容です。気候変動に限った話ではなくしっかりと社内で議論して情報開示を進めていただきたいです。
直近の動きとしてはScope3(Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出))の情報開示を求める動きが強まっています。産業によってさまざまな算出方法があり、内容も明確に規定されていないなかで非常に難しい対応が求められます。Scope3の算出が困難な場合には、自社製品の一部でも製造から廃棄までの過程での温室効果ガスの削減メリット(ライフサイクルアセスメント)を示すことで自社の取組みの強みをアピールするような動きを進めることも効果的かと思います。
投資スタイルにはパッシブ運用もあればアクティブ運用もあり、多岐に渡ります。当然投資家といってもさまざまなタイプがあり一括りにはできません。企業側はどういった投資家を選択してどのように情報開示をしたいかを考えることが重要でしょう。さまざまなタイプの「お客様」からどのような顧客に絞り込むかを考えるのと同じです。
竹ケ原 対話の相手を戦略的に選ぶということですね。Scope3は業種によって重要度が異なりますが、一番重要とされるのが金融です。ポートフォリオでCO2を把握し、2050年ネットゼロに向けた方策を示せとなると、極論すればダイベストメントに向かいかねない訳ですが、どういったバランスが必要でしょうか。
寺沢 仮にダイベストメントして、自分のポートフォリオをきれいにしたとしても、ダイベストされた先が別の規律の緩い投資家に支えられる形になり、かつ情報開示もなくCO2を出し続ける、となれば社会解決には至りません。徹底的に対話・エンゲージメントしていくことが重要です。この辺りは、運用形態の違いを反映して、今後さらに多様化していくのではないでしょうか。
竹ケ原 「環境貢献」という間接的な貢献についても、全く認めないダークグリーンな投資家から、積極的に評価する投資家まで多様です。日々IRを通して、多様な投資家と対峙しておられる山内さんからみて、企業側のエンゲージメントレベルは上がってきていると感じられますか。
山内 特に気候変動に対する意識は、投資家、企業ともに高くなってきていると感じており、近年では、気候変動の話題が出ないことがありません。企業側が開示した情報が、どういった形で企業評価に使われているのかという解説を投資家から聞けるようになり、好循環を実感しています。当社としても、投資家のニーズを把握しながら社内で事前に情報を収集し、投資家と対話できるようになってきています。
寺沢 コロナ禍でオンライン面談になり、対話のスタイルは大きく変わりました。オンラインだと企業側にもさまざまな部署から多くの方に簡単に参加してもらえるケースも増え、対話の質も上がっていると感じています。
竹ケ原 昨年10月のTCFD付属文書の改訂により「移行戦略」の開示が必要になりました。2050年ネットゼロというゴールに向けて2030年に向けた移行戦略とはどうあるべきでしょうか。2030年に45%削減という単線シナリオに馴染まない場合、各社の事情を深く理解してエンゲージしてくる投資家ばかりなら問題ないのですが、2050年の45%にアラインしていないことを理由に投資を回避するような流れにならないでしょうか。
山内 当社は自家発電燃料の転換余地があったことが2030年の高い削減目標の設定に繋がりました。一方で、削減余地のない、次の技術革新を待たないと削減できない企業もあろうかと思います。立場の違いをどうご理解いただけるか、これは地道な対話しかないでしょう。
寺沢 今トランジションをやっていないから駄目ではなく、これを機に企業価値を上げていくことが最も大きな意義です。投資家が知りたいのは、企業がトランジションをどう進めてどの分野に貢献していくのかという絵姿です。そして、利益を上げていくイメージをお示しいただきたい。アクティブ運用のファンドマネージャーは、この点を評価します。
竹ケ原 トランジションは、日本が主導するコンセプトで、EUタクソノミーとは異なり、脱炭素に向けたプロセスに着目しようというメッセージが込められています。企業側は、このプロセスをなるべく透明に見せていかないと、せっかくの努力がウォッシュとの誹りを受けるリスクがあります。難しいとは思いますが、厳密に見せられるところは見せていったほうがいいと思います。
寺沢 特に化学産業がイノベーションを起こすには、長期に亘る多額な投資が必要になります。このことは、ある意味において技術の先行国が叩かれる側面もあるため、技術を持っている企業にはアピールを含めて出し惜しみせずに情報を提示していただきたいと思います。また、それぞれの技術や金融リテラシーのある専門家がしっかりチームを束ねて進めていくのが大きなポイントでしょう。
竹ケ原 気候変動の次のテーマは何でしょうか。
山内 当社では生物多様性に注目しています。水や土壌を含めた幅広い環境保全の取組みを意識して企業経営を進めていかねばならないと、社内で議論を始めています。
寺沢 当社がフォーカスしているエリアは、気候変動、人権と健康・ウェルビーイング、生物多様性の3つです。しかし生物多様性については、どういった対策をすべきか評価軸が定まっていません。GHGというわかりやすい指標がなく課題は多種多様なため、まずは課題を整理することが必要です。人権については、人的資本という意味で日本の重要な課題だと考えています。
(注1)GPIF(Government Pension Investment Fund:年金積立金管理運用独立行政法人)による国連責任投資原則(PRI)への署名をいう。ESG投資の認知が急速に拡大したきっかけになったといわれている。
(注2)GHG排出量削減目標の指標のひとつ。2015年に採択されたパリ協定が求める、いわゆる「2℃目標(1.5℃目標)」が求める水準と整合した企業が中長期的に設定するGHG排出量削減目標と、この目標が示す社会の実現に資する目標設定を促す枠組みを指す。SBTは4つの運営法人によって構成されている。
(注3)2000年にロンドンで設立されたNGOで、投資家、企業、国家、地域、都市が自らの環境影響を管理するためのグローバルな情報開示システムを運営。日本では2005年より活動を開始している。
(注4)Paris Aligned Investment Initiative Net Zero Investment Framework